ざっくり雑記

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失敗は成功の一つ

成功者になろうと一念発起した19歳の大学生が、各界の成功者に成功の秘訣をインタビューしていく波乱万丈の日々を綴った自伝。

 

現代版ナポレオン・ヒルの成功法則。

 

ビル・ゲイツウォーレン・バフェット、レディガガやマーク・ザッカーバーグといったそうそうたる名前がインタビュー候補のリストに並ぶが、当然のことながら彼らのような成功者中の成功者たちとのインタビューを取り付けるのは至難の業だ。

 

内容のほとんどが、成功者と接触するための悪戦苦闘や艱難辛苦の描写に割かれている。

 

題名のサード・ドアとは、何の後ろ楯もない一介の大学生が成功者と接触するための裏口を象徴する隠喩で、著者のバナヤンが工夫と機転で成功者との接触を実現する展開はちょっとした冒険活劇の一幕を思わせる。

 

実のところ、この本で語られている範囲では、彼は成功者とみなされるような大規模な事業を展開したり、莫大な資産を築いたりといった文句のつけどころのない実績は成し遂げていない。。

 

成功者とのインタビュー実績と、フレンドシップという狭い意味で彼らの仲間入りができたこと自体が成功といえば成功といえる。

 

自己啓発本の例にもれず、インタビューに成功した成功者たちの語る成功の秘訣や、インタビューを成立させるまでにバナヤンが起こした効果的な行動や考え方が実益につながる読みどころではあるが、この本で特徴的なのは、著者が度重ねる失敗だ。

 

しかも、社会人経験の少ない学生にありがちなマナーの不勉強や、要点を得ない質問をせっかく時間を機会を与えてくれた成功者にインタビューしてしまうといった初歩的なものがほとんど。

 

成功者の伝記の大部分は輝かしい成功譚で占められている。

 

挫折や失敗があっても、それは後の成功のインパクトを強調するスパイスの域を出ない。

 

だがこの本では、スパイスである失敗の方がクローズアップされ、主役を演じスポットライトを浴びる。

 

それは、成功するためのあらゆる活動は、同時に失敗の種でもあるという真理を明らかにするためだ。

 

世間から成功と称賛される図抜けた成果を得ようとすれば、失敗の可能性があるリスクの高い行動に踏み出さなければならない。

 

失敗する可能性がないのなら、それは成功と見なされる行動にはならない。

 

成功者とは、そういった行動をとり続けることのできる人間であると、著者の失敗だらけの紆余曲折の遍歴が教えてくれる。