ざっくり雑記

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決断の物語

決断に関する一冊。

 

米国のオバマ大統領が、オサマ・ビン・ラディンの隠れ家襲撃を実行するまでの意思決定のプロセスなどを例として取り上げて、よりよい決断をするには何が必要なのかを古今の研究や資料を紐解き解説する。

 

決断するのは一瞬だが、その決断の妥当性を高めるのに必要な要素は、多岐に渡り、かつ多量。

 

最近の研究で明らかになってきた科学的知見も多く取り上げられているが、人類が誕生してから常に重要であった決断力を強化するツールや知見がやっと最近になって洗練し始めてきた、ということはない。

 

筆者の意見としては、人の決断力を鍛えるツールとして古来より利用されてきたのが「物語」である。

 

物語は、自分では体験できない現象や、考え付かない思考を追体験できるツールである。

 

誰であろうと、多くの経験を積み、豊かな知恵を会得すれば優れた決断力が身につくのは自明だが、現実世界でそれをやろうとすると、多くの失敗から生ずる不利益によって状況を悪くしたり、最悪、死に至ることもある。

 

物語は、そういったリスクを冒さずに、決断力を鍛えるために必要な経験を蓄積し知恵を磨ける優れたツールであり、だからこそ人類は普遍的な嗜好として古来よりフィクションに過ぎない物語を愛してきたのだという。

 

この本もまた、そんな「物語」の一冊となっている。