ざっくり雑記

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記憶術

 

記憶術

記憶術

 

ヨーロッパの宗教や哲学といった精神的伝統の構造を、記憶術というキーコンセプトを鍵に分析する。

 

2000年前の詩人の記憶を容易にするアイデアに端を発して、最初は単なるテクニックだったものが、真理や神へ至る通路と見做され、様々な才能に揉まれながらその意義や価値が変遷してゆき、やがてヨーロッパの精神的伝統の種実を結ぶ根幹へと成長していく様子を、多くの文献と深い洞察を駆使して克明に丁寧に記述する。

 

読むとヨーロッパの宗教や魔術や美術でシンボルという技法がなぜ重用されるようになったのかがよく分かる。

 

混沌としたヨーロッパの精神史を整理する明快な指針を得たような気にさせてくれる。