ざっくり雑記

ざっくりとした雑記です

新ネットワーク思考

 

複数の点と、それらをつなぐ複数の線から成る構造、つまりネットワークの性質について、研究の動向を第一人者がまとめた一冊。

 

ネットワークという概念の成立から、当初は単純な数理モデルだったものが、複雑な現実の事象を貫く普遍的な法則へと様々な分野の研究者の研鑽を経て洗練されていく経緯を分かりやすくかつ面白く読ませる抜群の筆致でつぶさに描写する。

 

見いだされたネットワーク理論を適用することで、論文の引用頻度やハリウッドスターの人気やインターネットの強靭さと脆弱性が明瞭に説明される。

 

しかもこの法則はマクロスケールだけに見られる傾向ではなく、遺伝子や生物の代謝、はては極小の世界の量子といったミクロスケールの世界にまで見いだされるというから驚き。

 

この世を動かす基本的な法則の一端に触れている感覚を味わえる読書感。