ざっくり雑記

ざっくりとした雑記です

7日間で人生を変えよう

 

世間に数多流通する自己啓発本の中で、行動変容につながる意識改革の具体的手法を取り扱う本。

 

こういった分野の書籍の自己啓発の理論の解説や売込みの仕方としては、その方法の有効性を強調し説得力を持たせるために、科学的な根拠や事例を筋道を立てて列挙し、論理的に読者を納得させる段取りを着実に踏む形式があるが、その場合、読者に理論を納得させ行動に導くための前置きや下準備にあたる文章が、肝腎要の主題である理論そのものにやむを得ず上乗せされるため、全体のボリュームが肥大化し、理論そのものにたどり着くまでの道のりが冗長となり、読者を途中で疲れさせてしまう残念なケースも少なくない。

 

著者が冒頭でわざわざ断りを入れているが、本書ではそういった本題を包み隠す贅肉になりかねない、理論を裏付けする科学的根拠や論理的な説明を極力省き、本題である自己啓発の具体的実践手法を端的に記述している。

 

「だまされたと思って」という枕詞に脊髄反射的な拒否反応を示す、「賢い」消費者には向かない構成となっているので、読者を選ぶ本ではある。

 

紹介する自己啓発の手法としては目新しいものはないし、「7日間」と銘打つ割に、即座に成果を出すテクニックというよりは、大きな成果につながる正しい方向を示すコンパスを手に入れる、意外と堅実な方法といったほうが適切な印象を受ける。

 

ただ、7日間で人生を変える、と豪語するだけはあって、その手法は簡潔で直感的に理解しやすく、実践にあたっては元手もいらず、時間も場所もシチュエーションも問わない方法ばかりなので、実行に移すのは容易である。

 

何よりも、こういった自己啓発の手法で重要なのは、その理論の妥当性の良し悪しよりも実行に移すかどうかであるので、その点を重視し、理論武装を解除して丸腰で突進してくる本書の割り切った作りには好感が持てる。