ヘルボーイ
人間に育てられた悪魔の青年が己の生い立ちに葛藤しながら世界の危機に立ち向かうアメコミ原作のファンタジー・ヴァイオレンス・スプラッタ・ジュブナイル映画。
ギレルモ・デル・トロ監督製作の既存作品とは設定が異なり、主人公の性格やその他の登場人物の顔ぶれも異なる。
悪魔でありながら人間に味方し同族と戦うヘルボーイのジレンマが作品のメインテーマの一つだが、本作のヘルボーイはギレルモ・デル・トロ版のヘルボーイと比べると本人も周囲も割とポジティブでタフな神経の持ち主ばかりで、作中でたびたび葛藤に陥るも、5分以内に自分なりに答えを見つけ出して立ち直り、スピーディに精神的成長を遂げていくので、主人公の苦悩にじっくりと共感したい視聴者は少し物足りない気分になるかもしれない。
作中唯一のキスシーンや父子の絆が世界を救う感動のクライマックスシーンまで、ぐちゃぐちゃどろどろとした質感をこれでもかとリアルに再現したグロテスクな作風に徹した制作陣の信念には手放しの称賛を贈りたい。