ざっくり雑記

ざっくりとした雑記です

本『これからのビジネスマンに絶対必要な教養 テクノロジー見るだけノート』

どんな本?

各界の最先端の革新的テクノロジーを、ビジネスの視点からわかりやすく図解する解説書。

 

感想

AIやビッグデータ3Dプリンターやドローン、ゲノミクスや脱炭素、IoTや拡張現実など、耳慣れてわかっているつもりだが、いざ説明しようとすると途方に暮れてしまう、様々な先端テクノロジーの概要を簡単におさらいできる、テクノロジー音痴と情報弱者の二重苦を抱えた自分にはありがたいコンセプトの本。

 

単なるテクノロジーの紹介ではなく、ビジネス視点で分類された種目が取り上げられており、知的好奇心の所産ではなく、既に採算が取れるレベルで実用化されているか、あるいはその目途がつきそうな将来性のあるテクノロジーばかりが厳選され、まさに『これからのビジネスマンに絶対必要な教養』の冠に相応しい内容となっている。

 

気配りが行き届いていることに、こういった最新情報に敏いビジネスマンが多忙なのを見越して、さっくり二時間で全般的な知識を概覧できるというコンセプトに基づき、簡潔な説明にさらにイラスト図解を添え、一項目を見開き2ページに収めて視認性を高めるなど、速やかな情報取得を助ける様々な工夫を凝らした盤石のデザインとなっている。

 

とかく先端テクノロジーを取り扱った書籍はSFチックな雰囲気で浮世離れした印象を受けることもままあるが、本書では各項目の末尾に、紹介したテクノロジーでビジネスをしているスタートアップ企業の具体名と業務についても触れられており、地に足が着いている。

 

内容について特に印象に残ったのは、3Dプリンターのオールマイティな活躍だ。

 

自分の中で3Dプリンターは、せいぜいがおもちゃじみた小物や、試作品やモックアップを作る程度のテクノロジーだったが、現在では製品レベルの高精度な工業製品はもちろんのこと、オフィスビル建築から臓器生成まで幅広い分野で縦横無尽に実用化され、2040年のアメリカで100兆円規模の産業になるという試算もあるというのだから、テクノロジーの成長の早さにはただただ驚かされる。

 

ただ、世間から取り残された閉じこもりがちな人間が驚くぐらいで済めばいいのだが、テクノロジーの長足の進歩につきものの従来社会との軋轢も、その進歩の速度に比例して拡大し、早急な対処を余儀なくされている。

 

効率的な製造機械は労働者を失業に追いやり、強力な新兵器は戦争被害を拡げ、遺伝子操作技術や情報技術は新たな差別を生み、格差を助長する。

 

新しいテクノロジーによって生じる問題は、当然ながらこれまた新しい問題であり、つまりは新しい解決の方策を必要とする。

 

それがまた新しいテクノロジーを生む発端になったりするのだが、自家中毒じみた終わりの見えない鼬ごっこ、というか自業自得の無間地獄には辟易を覚える。

 

終わりに

なんだか悲観的な感想に到達してしまったが、人類が直面している当面の問題を解決してくれそうなテクノロジーのオンパレードには素直に胸が高鳴る。

 

いずれこれらのテクノロジーコモディティ化して、あるのが当たり前の必需品になる日も遠くないと感じる、夢が広がる一冊。