ざっくり雑記

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雲を羽織る


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急な物欲に駆られて三井アウトレットパーク入間までサイクリング。

 

天気は雲一つない快晴で最高。

 

前日にスプロケットとチェーンを徹底的に分解整備した愛車は絶好調で、控えめに言って言うことなし。

 

アウトレットパーク入間に着くや否や、お目当てのNORTHFACEのアウトレット店へ真っ先に向かう。

 

が、いきなりの行列。

 

世はまさに日曜日真っ盛りなのを失念していた。

 

シフト勤務と夜勤で曜日の感覚が死んでいた。

 

しばらくワイズロードやら他の店舗を巡ってから出直すと、行列が解消している良いタイミングで入店できた。

 

そこからたっぷり二時間、店内を隅から隅まで物色し、堪能し尽くす。

 

寒い時期のサイクリングの体温調節のために、一枚羽織る薄手でかさばらないアウターが目当てで、理想はゴアテックスの軽量アウター、クライムライトジャケット。

 

数着在庫があり、アウトレットということもあってかなり割安だったが、それでもそれなりの価格で財布のひもを緩めるには抵抗がある。

 

しかし諦めきれず、更に店内を丹念に物色する。

 

ラックにかかったジャケットの山を漁り、頭を棚に突っ込んで、奥の突き当りまで分け入る。

 

そして見つけたのが冒頭に載せた写真のクラウドジャケット。

 

ゴアテックスでありながら、クライムライトジャケットより安価な値段設定。

 

更に、型落ちのラスト一着ということもあり、同型の他品より3割ぐらい余計に安い。

 

更に更に、2品以上買うと10%割引のキャンペーンを利用して、実質半額以下で購入できた。

 

この○○品以上購入で○○%割引というのはくせ者で、欲しくもないものを無理に買って、結果トータルで支払い額が膨らむという、かえって損をするパターンに陥りやすい。

 

割引特典の利点だけ享受して、一着だけ買うより支払いを抑えるためには、購入物品の10%以下の価格の2品目を買えばいい。

 

だが、さすがNORTHFACE、そんな低価格の品物はなかなかない。

 

だがついに発見。

 

550円の赤ちゃん用靴下。

 

全く必要ではないが、これを2品目として購入し、無事トータルの支払金額を圧縮できた。

 

ちなみに靴下は帰宅途中のリサイクルショップに200円で売り、流通へ還元した。

 

さて、このクラウドジャケット。

 

購入後にネットで評判を検索したら、全体的に批判的なレビューが目につきちょっと落ち込む。

 

その原因は、品物自体の出来不出来というよりは、似たような用途のクライムライトジャケットが比較対象となってしまい、クライムライトジャケットの廉価版、極言すれば下位互換として評価されてしまっているから。

 

クライムライトジャケットはクラウドジャケットより一割強高額だが、より軽量で生地が高品質でシルエットも良いということで、差額以上の価値があるともっぱらの評判。

 

厳密には使用目的が違うので、単純な比較はできないのだが、本格的な山登りでもしない限り、普段の生活で機能の違いを意識する場面は少なく、街着として着るなら、デザインやシルエット、生地の質感など着こなしや着心地の方が重視される。

 

その点では、クライムライトジャケットの方に軍配が上がる。

 

似たような品物で、一割強余計に出費すれば、それ以上の価値を得られるなら、そちらに傾くのが人情だ。

 

とはいえ、100円の一割と10000円の一割では、文字通り桁が違う。

 

低賃金のワープアにとって、1000円の支出の増減は生死に関わる。

 

割安であっても、生活に支障をきたす許容されざる支出であるかどうか、考慮せざるを得ない。

 

その点、今回購入したクラウドジャケットのセール品は、クライムライトジャケットのアウトレット品より4割弱安かった。

 

金額にして8000円近い。

 

機能を考えると、今度は逆にクラウドジャケットの方にお得感が出て来る。

 

270グラムのクライムライトジャケットより重いとはいえ、クラウドジャケットは320グラムで、世に出回る有象無象のアウターの中ではトップクラスに軽量の部類に入り、十分に軽い。

 

というか軽すぎる。

 

まさに雲を羽織るといった着心地だ。

 

ちなみにクラウドジャケットのクラウドは、雲ではなく曇り用という意味らしいのだが、ここは勝手に雲と解釈しておいた方が気分がいい。

 

着心地についても、さすがゴアテックス、さすがNORTHFACEといったところで、クライムライトジャケットという目の上のたん瘤が無ければ、価格を考慮すると十分に許容範囲だ。

 

と、あれこれこじつけのような利点を無理くり列挙して、クライムライトジャケットになにかと見劣りするクラウドジャケットを衝動買いしてしまった軽挙妄動に何とか正当性を与えようと苦慮している。

 

やっぱり少し位無理してでもクライムライトジャケットを買った方が良かったかな、とことあるごとに後悔に襲われる。

 

相対主義は厄介な宿痾だ。

 

だが、実際にクラウドジャケットを着てみると、やっぱり着心地は優れており、買ってよかったという思いで後悔が和らぐ。

 

牽強付会を承知でクラウドジャケットの美点を挙げるなら、その名称がある。

 

クライムライトジャケットという率直だが味気ない名前より、クラウドジャケットという、大空に浮かぶ雲を想起させる命名は、軽くてゆったりとした着心地の本作の特徴を非常によく表している。

 

雲を羽織っていると思えば、山登り用のクライムライトジャケットよりいい買い物をしたと、思えなくもない。