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屁理屈はないが 本『屁理屈なし 社長のための時間の使い方 改訂版』

 

概要

時間管理を主軸に、経営者のビジネスの質を劇的に改善するノウハウを分かりやすく解説する。

 

屁理屈はないが

数あるビジネス系の自己啓発本の中でも、経営者の時間管理について的を絞っている。

 

主張は単純明快かつ率直で、時に過激だが、筋は通っていてスムーズに腹落ちする。

 

成功する経営者が備えるべき心構えを説き、具体的な方策を分かりやすく説明する。

 

表題で冠する「屁理屈なし」の看板に偽りはなく、どのノウハウも、実際に優れた経営者である著者の成功体験に基づいており、理屈倒れの空理は一切ない。

 

が、この著者、話が長い。

 

「屁理屈なし」を豪語するだけに、要点だけをズバズバ簡潔に述べる小気味いい読み味を勝手に期待していた。

 

実際は、要領を得ない例え話と、どうでもいいディテールがやたら細かい体験談がいたるところに挿入され、読んでいて非常にテンポが悪い。

 

抽象的なノウハウの理解を助けるために、具体例を添えるのは非常に効果的な解説手法の定番だが、何事にも適切な分量というものがあり、本書の場合はそれがやや過剰なきらいがある。

 

本のデザインは良く、表紙のイラストはコミカルな割に落ち着いており、表紙を含めた用紙の質感は適度に手に馴染み、文面のフォントや見出しは寂しくならない程度に余裕をもって配置され、本としては大判なサイズもあって読みやすい。

 

ただ、話が長い。

 

経営者の時間の大切さをテーマにしているのに、余計な挿話で読者の時間を奪う矛盾した構成には戸惑いを禁じ得ない。

 

この著者は、似たようなビジネス系自己啓発本を何冊も発行しており、冊数の頭数を稼ぐために、それぞれの本の分量を水増しする悪質な誤魔化しなのかと邪推が頭をもたげるが、趣向を凝らした挿話の文体から受ける印象は無邪気そのものであり、著者からすれば、どの挿話も必要最低限にして欠くべからざる、重要なエピソード以外の何物でもないようだ。

 

ビジネスに関しては一分一秒を惜しむ怜悧冷徹を自認する優秀な経営者が、一方で、話が不必要に長いという凡庸な欠点を持つというギャップのお陰で、ともすれば残酷な真理の羅列に辟易しそうになる本書の印象がだいぶ和らいでいるのは、意図的な演出なのだろうか?

 

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