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ショック・ドクトリン

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要するに、国家規模の火事場泥棒の話。

 

そしてこの火事場泥棒、「火事場」を作るために、積極的に放火もやるし、なんと全焼した家屋の建て直しを法外な対価で請け負い、さらに立て直した家屋や土地の所有権を奪い、かてて加えて、住人から法外な家賃を取り立て、住人に劣悪な仕事を斡旋した挙句、報酬の大半をピンハネする。

 

耐えかねた住人が死んでもかまわない。

 

なぜならこの家には、数百万、数千万人以上の住人がいるからだ。

 

民主化運動やクーデターなどの大規模な政変に見舞われて一時的に無法状態になった貧しい国の切羽詰まった窮状につけこんで、多国籍企業世界銀行のような巨大資本が援助融資と引き換えに、国有資産や公共事業の民間への払い下げや民営化を強要し、国家や国民の貧窮にかまわず、国の富を根こそぎ略奪するという、新自由主義がもたらした新形態の植民地政策の実態を、目をそむけたくなる豊富な実例を挙げて赤裸々につづった大著。

 

上下巻構成だが、正直上巻だけでおなか一杯。

 

時系列に沿って惨事便乗型資本主義(ショック・ドクトリン)が生み出した悲惨な状況の実例を挙げているが、この恐ろしい資本主義の横行は、今もなお継続している。

 

時系列に沿って述べられる実例の年代が徐々に「今」に近づいてくると、実感が強まり、背筋が寒くなり、これ以上読むのがつらくなって下巻には手を出せなくなってしまった。

 

この世には、犯罪や戦争といった「悪」を超えた、さらに強力で恐ろしく、多くの人々の苦しみ悲しみを経済的利益に変換し、ごくごく一部の富裕層へ送り届け際限なく肥え太らせるべく働き続ける「何か」がある。