ざっくり雑記

ざっくりとした雑記です

快感回路

 

人を特定の行動に駆り立て、ときに破滅にまで追い込む快感の科学について扱った一冊。

 

脳科学的な視点から快楽の仕組みを解き明かす。

 

特に、アルコールやタバコ、麻薬など、厄介な依存症の基盤となる快楽の負の側面の詳細を丹念に記述する。

 

興味深いのは、人間は快楽を自ら創造する能力があるという点。

 

本来なら不快でしかない痛みを快感として認識するSM趣味や、本質的にはなんの価値もないゲームにはまってしまうケースなど、自己の生存に有利な刺激を快楽とみなすという快感の基本的な役割から逸脱した認識を、人は学習を通して創造する。

 

快楽と一口でくくると単純そうだが、そこに至る道は十人十色、複雑怪奇に錯綜しており、一筋縄ではいかない。

 

快楽を解明する探求はまだ端緒に着いたばかりであると著者は締めくくる。