妖怪漫画の大家、水木しげるが私淑するゲーテの選りすぐりの言葉をまとめて水木しげるの思いを付した一冊。
漠然とスピリチュアルな世界に関わっていることから、細々とした学術分野には関心が薄く、おおらかで茫洋とした人柄を勝手にイメージしていたが、あにはからんや、10代のみぎりから聖書や主だった哲学者の著作に慣れ親しむ並々ならぬ教養人だったことが本書から読み取れる。
おおらかで茫洋としたイメージを抱かせるのは、膨大な読書で得た優れた思想を、戦争という極限状況を通じて自家薬籠中のものとしたことで、融通無碍の精神を得たからなのだろうか。
水木しげるのゲーテへの熱意に感化されてゲーテが読みたくなる一冊。