ざっくり雑記

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どうでも良くないどうでもいいこと

 

どうでも良くないどうでもいいこと

どうでも良くないどうでもいいこと

 

1983年刊行のコラム集。

 

筆者はアメリカのコラムニスト、フラン・レボウィッツ。

 

コラムの題材は婚活や福祉や出産や物件探しやダイエットや喫煙や経歴や家族関係や戦争や税金や貧困といったありふれたものばかり。

 

しかし、筆者の視点に濾過され、表現によって加工されることで、全く別物のごとく独特の意味が付与されたそれらはありふれたものから一線を画すものに変貌している。

 

まさしくどうでも良くないどうでもいいことという看板に偽りなしの内容。

 

原題の「SOCIAL STUDIES」の直訳は社会学で、これをそのまま邦題にしたら味も素っ気も無さすぎなので、邦題を新たにつけ直すというのは当然の帰結ながら、クセが強い上に水準も高い内容に力負けしない的確なフレーズを配した翻訳家のセンスには感動すら覚える。

 

なんて分かったような感想を述べつつ、実は内容についてはよく分かっていない。

 

なにせ40年近く前のアメリカ在住の稀代のコラムニストのキレッキレのコラム、その精選である。

 

時代背景と文化背景に馴染みがなさすぎて何を言っているのか八割方意味がわからないし、残り二割についても勘違いしている不安は拭えない。

 

意味はわからないというのに、「なんか気の利いたことを言っている」という雰囲気、オーラはビンビンに伝わってくるので、むしろ筆者の実力は十二分に伺える。

 

囲碁のことが分からなくてもヒカルの碁が面白いのと同じ理屈で面白い。

 

翻訳が平易で分かりやすい上に、文体の都合上余白も多いので、スラスラサクサク読み進める軽快な読感が気持ちいい一冊。