ざっくり雑記

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映画『007 NO TIME TO DIE』


どんな映画?

大人気英国スパイ映画007シリーズ節目となる25作目にして、6代目ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグの卒業作。

 

恩讐を越えて結ばれた恋人マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ―)との決別を経てリタイア生活を満喫していたボンドは、CIAの旧友フィリックス・ライター(ジェフリー・ライト)の依頼で、誘拐されたナノマシン兵器開発者オブルチェフの行方を追う。

 

捜索はやがて、古巣である英国諜報機関MI6の秘密計画、義兄にして悪の組織スペクターの首魁ブロフェルドとの因縁、そして暗躍する謎の人物サフィンラミ・マレック)、そして運命の恋人マドレーヌを結ぶ、世界の危機へと繋がっていく。

 

感想

コロナ蔓延による延期に次ぐ延期で、いよいよ劇場公開を危ぶんでいた007最新作が、2年越しに満を持して劇場公開された。

 

3時間近い長尺にもかかわらず、徹頭徹尾、微塵の弛みなく一気呵成に鑑賞を終えた。

 

ラミ・マレック演じる本作のラスボス、サフィンの国籍不明瞭な不気味さは趣深い。

 

ラミ・マレックだけでなく、日本の能面をかぶり機関銃を携えた雪原迷彩服の襲撃者とか、ミサイルの発射口の上に設けられた毒草の生い茂る枯山水の日本庭園とか、斬新な和洋折衷シーンが目白押しで、心地よい混乱に酔いしれる。

 

畳に正座のラミ・マレックとか、多分二度とお目に掛かれないお宝映像だ。

 

序盤でボンドのパートナーを務めるCIAの新米エージェント、パロマ(アナ・デ・アルマス)の胸元が大きく開いた、というか四捨五入したら丸出し同然の際どいドレスで繰り広げる豪快なアクションは、色々な意味でハラハラドキドキした。

 

Q(ベン・ウィショー)が開発したMI6製ビックリドッキリマシンにも胸が躍ったが、パロマの奔放な胸元を最後まで守り通したドレスのテクノロジーも興味深い。

 

15年007シリーズを盛り上げたダニエル・クレイグに相応しい、壮大で切ないラストシーンには、しばらく忘我の境地から戻ってこれなかった。

 

終わりに

これでクレイグボンドが見納めかと思うと、大ファンだっただけに寂しさもひとしおだが、肉体的な全盛期で役を離れるというのは、アクション映画俳優としては100点満点の英断だ。

 

5代目までの英国紳士らしい軽妙な、ともすれば軽薄と紙一重だったボンド像に、地に足のついた重厚な存在感をもたらし、シリアスな魅力を拡張したダニエルとスタッフの功績は掛け値なしに大きい。

 

これ以上のボンド像というものはどうにもイメージしづらいが、次代のボンドへの期待は膨らむばかりだ。

 

次回作から主役を交代して作風一新を図る下準備なのか、クレイグボンドと因縁深い重要人物たちが、手際よく整理されていく勢いが打ち切り作品の巻きの入った急展開じみていて、ちょっと笑いをこらえきれなかった。

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人里離れた悪の根城にはミサイルが良く似合う