ざっくり雑記

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ツン斬り

幕末から明治にかけての動乱の真っただ中を戦い抜いた新撰組三番隊隊長、斎藤一が酒を飲みながら問わず語りに語る懐古譚。

 

希代の人切りにしてあまたの人命が失われた戦乱を潜り抜けた稀有のサバイバーの昔語りの迫力は圧巻。

 

浅田次郎の精緻でありながら力強い筆力が、斎藤一の血に彩られた重厚な生涯とそこに映し出される幕末から明治にかけてのドラスティックな変革が人の人生を容赦なく狂わせる残酷さを余すことなく描き切る。

 

時代が変わっても己の生きる道を一切曲げず抗い続けた極限のツンが、物語の最後の最後にデレる一幕はどうしようもなく切ない。

 

吉村貫一郎も出てくるので、壬生義士伝を読んでおくとさらに楽しめること請け合い。