パーキー・パットの日々
SFの短編集。
どこかで見たような話が多いなと思ったら、年代を考慮すると、自分が見聞きした「どこかで見たような話」の元型、あるいはそれに近い位置にある草分け的作品ばかりだと気づき、改めて巨匠の偉大さを思い知る。
もちろん、どこかで見たような話、ではない奇想天外な話も多い。
特に表題作の「パーキー・パットの日々」は不気味。
以下ネタバレを含むあらすじというかストーリーの背景。
世界規模の核戦争後、荒廃した地球上に生き残ったわずかな人々は、謎の異星人が定期的に投下する援助物資のおかげで、貧しくはあるが生きるのに困らない最低限の生活を維持していた。
衣食が保証された日々で、大人たちは生産的な仕事をせず、「パーキー・パット」と呼ぶ少女の人形を使った対戦型ままごとに日がな一日没頭していた……
自分の拙い要約のせいもあるが、あらすじを書き出すとシュールな内容。
ポストアポカリプスな世界で異星人の慈善事業で甘やかされて堕落し、たちの悪いニートと化した大人たちが、真剣にままごと遊びに没頭し、一喜一憂する日々を延々と続けるという悪夢のような未来像が克明に描写される。
これもまた「どこかで見たような話」になるような世の中にはなってほしくない。