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ケープ・フィアー

 

ケープ・フィアー (字幕版)

ケープ・フィアー (字幕版)

  • 発売日: 2014/03/15
  • メディア: Prime Video
 

 14年の刑期を終えて出所した残忍なレイプ犯・マックスが、かつて自分の弁護をした際、私情を挟んで故意に手抜きをした弁護士とその一家を、復讐のために執拗に追い詰めていくサイコスリラー。

 

意図せず、前回見たマラヴィータと主演のロバート・デニーロがかぶった。

 

今回のように、特に意識していないのに、ある期間に見た映画の特定の出演者がやたら重複する現象が時々起こるが、今回はロバート・デニーロがそうらしい。

 

狡猾なマックスは、陰湿な謀略を張り巡らし、人の心に巧みに取り入る手練手管を駆使して関係者を罠に陥れ、弁護士一家の虚飾にまみれた偽りの平和を一つ一つ壊していき、破滅へ向かって徹底的に追い詰めていく。

 

復讐の発端は、文盲のマックスが、刑務所内で文字を覚え、自分の裁判記録を見返したところ、弁護士がマックスの犯行に対する個人的な嫌悪感でマックスに有利な証拠を隠滅し、故意に懲役を長引かせたことに気づいたことだ。

 

弁護士への強い恨みに燃えたマックスは、刑務所でストイックに勉学に励み、一流の文学の教養や本職の弁護士を翻弄できるほどの法律知識を習得するとともに、大人数の暴漢に囲まれても返り討ちにできるほど強靭な肉体を鍛錬によって手に入れ、暴力と狡猾さを兼備した文武両道の復讐の鬼へと己を昇華する。

 

マックスは残忍で好色な本性を巧妙に隠して魅力的な好漢を装い、弁護士の愛人や娘に言葉巧みに取り入り篭絡し、弁護士一家を追い詰める道具にしていく。

 

人々を魅了し、一方で平然と人情を踏みにじり弄ぶ、人間心理への深い理解と相反する冷徹な酷薄さが同居する矛盾した人間性は、典型的なサイコパスの特徴を示している。

 

キャラクターとしてのマックスは、ロバート・デニーロの鬼気迫る怪演で迫力と凄みはあったものの、ありきたりで教科書的なサイコパス犯罪者の類型から逸脱するものではなく、凡庸な印象を受けた。

 

だが、1991年という公開時期を考慮すると、サイコパスという名称や、それが指し示す人物像が現在よりも人口に膾炙していなかったはずであり、当時としては、教養豊かな高い知性と健康で強力な身体能力を併せ持つ有能な人間が、道徳を鼻で笑うような凶悪な犯罪に手を染める悪魔のような本性を持ち、市民の安寧を脅かす存在として大手を振って跋扈するという本作のストーリーは、サイコパスという概念が精神医学の専門知識ではなく、一般教養に落ち着くまで各種メディアで消費しつくされた現代よりも、にわかには受け入れがたい異様な怪物譚として、強い不安や嫌悪を催させる衝撃的な作品だったかもしれない。

 

作品内容は別にしてロバート・デニーロが無茶苦茶いかり肩なのが個人的に気になった。

 

役作りの一環なのだろうか。

 

もしかすると、またロバート・デニーロが出演する映画にあたるかもしれないので、このいかり肩が役作りによるものか、ロバート・デニーロの個人的な姿勢や動きの癖なのか、注意してみようと思う。