ざっくり雑記

ざっくりとした雑記です

サボタージュ

 

サボタージュ(字幕版)

サボタージュ(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 アーノルド・シュワルツェネッガー演じる歴戦の麻薬捜査官・ウォートン率いる特殊部隊の屈強な隊員たちが、何者かに一人ずつ猟奇的な方法で殺されていく。

 

事件に関わった殺人課の女捜査官とともにウォートンは事件の真相を追っていくというあらすじのサスペンス。

 

以下ネタバレを含む。

 

アクションエンターテイメントとしては、派手な暴力シーンとアメリカ的な粗野なユーモアの適度な緩急、出演者の高い演技力と手堅い演出に支えられた刺激的で迫力ある硝煙と血にまみれた暴力描写で、終始中だるみすることなく楽しく観れたが、ストーリーや登場人物の行動原理、特に主役であるウォートンの立ち回りは支離滅裂で、筋を通したように見えるクライマックスシーンのカッコよさではごまかせないほど筋が通っていない。

 

瞬間瞬間の場面を切り取れば痛快な気分に浸れるが、ストーリー全体の整合性を求めると途端に溢れ出してしまう大量の疑問符がせっかくの楽しみに水を差す。

 

アクション映画の大ベテラン、アーノルド・シュワルツェネッガーが出演しているだけあって、原初的興奮にアプローチするアクションシーンの質は申し分ないが、ストーリー部分の謎解きや登場人物の掘り下げといった知的好奇心にアプローチする部分が力負けしている印象を受ける。

 

アーノルド・シュワルツェネッガーは、よくよく見ると年齢相応のアクションしかしておらず、動きの総量とバリエーションは大きくない。

 

それでも他の若手俳優のダイナミックなアクションに負けず劣らず劇中で大活躍している印象を受けるのは、演出や編集の上手さもあるだろうが、やはり何十年にもわたってアクション映画の第一線に身を置き勘所を心得た、業界屈指の肉体派俳優だけが醸しだせる稀有の貫禄がなせる業だろう。

 

これでもかとマッチョな要素を詰め込んだ主人公ウォートンのキャラクター造形を象徴する葉巻の太さは驚異的。

 

以前、立て続けに観たマラヴィータケープフィアーで、主演のロバート・デニーロが被るというシンクロ現象が発生したが、今回も期せずして、一作前に観たボーダーラインの主要人物と今作の主人公の設定がもろ被りするというシンクロ現象が再発生した。

 

ちなみにシンクロした設定は、「麻薬捜査に携わる登場人物の妻と子供が麻薬組織に拉致・殺害され、その登場人物が違法な手段も厭わず麻薬組織に復讐を果たす」というもの。

 

こういうシンクロ現象は、複数の対象が有する無数の構成要素から、一つや二つは必ず存在する共通要素を無意識に恣意的に拾って特別視してしまう人間の認知の癖によるもので、別段、人智の及ばぬ特別な意味を持つ超常現象ではないと重々承知しているものの、何か未来の重要な出来事を示唆する予兆だったり、人生の指針をしろ示す啓示の一種ではないかと期待する神秘妄想が頭の片隅に湧き出てくるのは止められない。