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オーシャンズ12

 

オーシャンズ12 (字幕版)

オーシャンズ12 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 錚々たるキャストが画面狭しと活躍するケイパー映画の続編。

 

チームメンバー数を表す数字が+1加算された今作のタイトルを初見した時点では、既に前作の時点で一本の映画に詰め込めるスターの許容量の臨界に達していたと思われた本作に、タイトル通りスターをおかわりしたら、限界突破したスターの内圧に耐えきれなくなった作品が空中分解して、目も当てられない破綻や混沌の憂き目に遭うのではないかと素人考えでヒヤヒヤしていたが、素人考えの常で、危惧は杞憂に終わった。

 

主人公がまとめる泥棒チームに新規メンバーが1名加入して、新たな大仕事に臨む……という一筋縄でいくような筋立てではない。

 

12というタイトル自体が巧妙なミスリードとなっていて、観客は本編を観るどころか、タイトルを目にした瞬間から「オーシャンズ」に騙される手の込んだエンターテイメントになっている。

 

チームという集団形式の利点には、単純なマンパワーの増強の他に、ミッションに応じた最適なスペシャリストを結集して、個人の限定された能力では到底達成できない大事業を成し遂げられる点がある。

 

前作のオーシャンズ11というチームは、前述の典型的な利点を備えた優れたチームであり、その尖りに尖った専門性が絶妙なバランスで融和し、長所がいかんなく発揮されて不可能とも思えるミッションを見事に達成する。

 

しかし反面、ミッションに最適化したスペシャリストを結集したチームは、その特化した専門性がゆえに柔軟性に乏しく融通が利かない側面もあり、攻めに強いが守りに弱い、利点と表裏一体の欠点も併存する。

 

今作ではその急所を衝かれてチームは危機に瀕する。

 

だが、チームにはスペシャリストを結集したタイプとは別の、状況の移り変わりに応じて臨機応変にメンバーを入れ替えられる流動性や代替性に重点を置いたタイプもあり、今作では後者が危機を打開するキーポイントとなっている。

 

目まぐるしく移り替わり、ときに重層する「12人目」それぞれの活躍と暗躍から目を離さず振り落とされないように頭を切り替えながら鑑賞するのはなかなかの集中を要する骨の折れる作業だが、その労に報いて余りある面白さがある。

 

前作から引き続きベネディクトが敵役として登場し、オーシャンズを危機に陥れるが、悪役として描写されているものの、そもそもこの人物、敵や裏切り者に対する報復が苛烈で徹底しているというだけで、本業のカジノ経営等のビジネス分野で悪辣な手段を用いて不正に蓄財しているというような能動的な犯罪の明確な描写はなく、悪意の有無という見地からすると、泥棒という完全な犯罪を本業にしているオーシャンズたちよりまっとうな社会人であり、そんな人物が前作に引き続き本作でも、次から次に泥棒被害に遭う立場になっているのにはいささかの同情を覚えないでもない。

 

作品の根幹にかかわるメインキャストも豪華絢爛だが、ストーリーに花を添えるカメオ出演者も負けず劣らず豪華絢爛であり、前作同様、どこをどう切り取っても眼福必至の作品となっている。

 

ブルース・ウィリスって映画だけを見ている分にはバイオレンスなイメージが付きまとってるけど、プライベートだとあんなに気さくな紳士なのだろうか……