ざっくり雑記

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京大変人講座

世界的な変人ぞろいで名高い京都大学の変人研究者たちが、それぞれの研究分野の変なトピックを紹介した講座をまとめた一冊。

 

その創立の理念からして変人の巣窟たるを志す京大の研究者だけあって、その研究内容も一般常識から逸脱したり、あるいは縁遠いものばかり。

 

だがその内容を読み込み論理の展開をたどっていくと、一般常識から逸脱し、あるいは縁遠いトピックにもかかわらず、理にかない納得でき、親近感すら湧くから不思議である。

 

ここに単なる変人と、変人でありかつ研究者である人間との違いがある。

 

大学の研究とは科学であり、科学とは、世に存在する事象を解明して普遍的で再現可能な理論へ翻訳した成果である。

 

要するに、「変」を「普通」へと消化して世の中にお届けするのが研究者の仕事なのだ。

 

してみると、研究者は「変」と「普通」が接する最前線で戦っている以上、例外なく「変人」といえるかもしれず、本書は、学問から隔たった「普通の人々」からはなかなかうかがい知れない象牙の塔の住人=変人たちの戦いぶりの中でも、特に変な局地戦を戦っている奇特な人々の業績に楽しく触れられる貴重な資料となっている。

 

本書で取り上げられている「変」も、いずれは「普通」になっていくかと思うとなにやら感慨深い。