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身近に潜む億万長者……本『となりの億万長者 成功を生む7つの法則』

 

概要

綿密な統計学的調査から見えてきた、億万長者の意外な実態を基に、億万長者になるための秘訣に迫る本。

 

「となり」

前回取り上げた本『金持ち父さん貧乏父さん』と内容はかなり重複するが、本書は綿密な統計学的調査データが豊富に引用され、より科学的に、より詳細に億万長者の実態に迫っている。

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調査から見えてきたのは、一般庶民には縁遠い億万長者という別世界の人種が、意外にも「となり」に住んでいるという意外な事実だった。

 

「となり」というは、そのまま地理的な意味だ。

 

億万長者は高級住宅地の豪邸で傲然と贅沢を満喫しているのではなく、中流階級がひしめく質素な住宅街の一角でつつましく生活しているというのが、本書が暴き出した億万長者の実態である。

 

経済的な豊かさで区分した場合、世の中の大半が中流階級に属するのだから、あなたの「となり」に億万長者が住んでいても、確率的になんら不思議ではないのだと本書は主張する。

 

身近に潜む億万長者

なぜ億万長者は普通の住宅街に住むのか。

 

莫大な収益を産むやましい仕事や財源を当局からカモフラージュする隠れ蓑……ではない。

 

むしろ、過不足のない普通の住宅という選択こそが、億万長者の豊かな資産を築く要因の一つになっている。

 

『金持ち父さん貧乏父さん』でも取り上げられているが、億万長者は資産と負債の違いをきちんと把握している人々だ。

 

余計な支出を極力減らし、浮いたお金は継続的に収益を産みだす事業や金融商品などに投資する。

 

本当の億万長者にとって高級住宅街に住むというのは、自分の地位を誇示する以外に何の実益も無い無駄な浪費でしかない。

 

豪邸ともなれば、購入費用が高くつくのは当然として、維持にかかる費用も相当な額にのぼる。

 

人間が暮らす住宅には適正なサイズがある。

 

極論、起きて半畳寝て一畳のスペースがあれば事足りる。

 

余計なスペースに費用を費やすなら、その費用で有望な株式を一株でも多く取得するのが、本当の億万長者の思考なのだ。

 

本書は億万長者の特別な特徴ではなく、私たちとの共通点を取り上げた本となっている。

 

億万長者への道は、非凡な才覚や豊かな境遇に恵まれた一部の特権階級に独占されてはいない。

 

普段何気なくあいさつを交わす隣人がその道を歩いているのなら、似たり寄ったりの生活水準の自分もその道に踏み込む可能性があるという希望が見えて来る。

 

庶民ならではの質素なライフスタイルが、本当の億万長者へ至る道の入り口になっているという統計学的事実は、目からうろこのパラドクスだ。

 

本書には他にも、一般通念に反する、億万長者の様々な実態が紹介されている。

 

例えば億万長者は新車ではなく型落ちの中古車を買う、例えば億万長者は極力子供を経済的に支援しないなど、常識を覆す統計学的事実が調査から浮かび上がってくる。

 

となると、私たちが頑なに抱いていた億万長者のイメージの元となる人々は、そもそも億万長者ではなかったことに気づかされる。

 

現代では、毎日のように各種メディアやSNSから、セレブリティや成功者の贅沢な暮らしぶりが、頼んでもいないのに絶え間なく供給される。

 

つましい暮らしを余儀なくされる庶民の心を嫉妬や羨望で搔き乱す上流階級のライフスタイル情報をシャットダウンするのは、高度情報化社会の現代ではほとんど不可能に近い。

 

だが、そもそもそれらの贅を凝らしたライフスタイルの大半が、火の車の家計の上でかろうじて成り立つ自転車操業の所産なのだとすれば、嫉妬や羨望は薄れ、むしろ高止まりした生活水準の維持に汲々と喘ぐ似非億万長者たちに憐憫の情すら湧いてくる。

 

たとえ本書を読んで1円も得られずとも、世界の見方が劇的に変化すれば心の在り様も連動して劇的に変化し、読む前より豊かな心持ちになれる。

 

億万長者になる第一の目的が、経済的安定を通じて心の安寧を得ることならば、本書は期せずして読者を億万長者のその先へ一足飛びに導いてくれる、真の豊かさへの道しるべとなる。