科学で大切なことは本と映画で学んだ
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書評と映画評を主題にした科学エッセイ。
要点を抑えたコンパクトな概要説明と、作品の魅力の核心に読者を最短距離で導く軽妙洒脱な表現力が融和した、珠玉の評論が目白押し。
科学をテーマとする名著・名画のリストは膨大なボリュームとなるが、中には「科学」を標榜しない、「一般」の作品も多々含まれる。
それらがちゃんと科学的評論の題材として馴染むのは、筆者の巧みな筆力によるところももちろんだが、科学が、この世の森羅万象、つまりあらゆるものが秘める真理を追究する懐の深い学問だからだ。
本や映画に限らず、科学の眼鏡で覗き込めば、あらゆるものが元来持つ、普通では見えてこない科学的な魅力がにわかに色を放ち立ち上がってくる。
世界に対する認識を研ぎ澄まし、日常風景に潜む驚異に敏感に感動する科学的感性、いわゆるセンス・オブ・ワンダーを、本書が取り上げる古今の名作と、本書自体が力強く育ててくれる。