ざっくり雑記

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アンリミテッド

 

アンリミテッド(字幕版)

アンリミテッド(字幕版)

  • 発売日: 2018/09/06
  • メディア: Prime Video
 

 パルクールをアクションのメインに据えたアクションスリラー映画。

 

原題の「Tracers」は、作品に溢れんばかりに満載されたアクションの中でも特に力の入った見どころをこの上なく簡潔明瞭に摘要した「こういうのでいいんだよ」なネーミングだが、邦題の「アンリミテッド」も、作品に確固とした方向性を与えている理念の根幹を浮き彫りにした的を射たネーミングで、鑑賞にあたり、本作の醍醐味への即座のアクセスをサポートする高性能の羅針盤として、原題に勝るとも劣らない訴求力を発揮している。

 

原題の「Tracers」が示す、ビルがひしめく街中をパルクールを駆使して縦横無尽に駆け回る追跡劇における、追手と逃げ手の距離感の設定が絶妙で、観客の緊張の糸にかかる張力を一瞬たりとも緩めない、近からず遠からずの微妙な距離が数センチ、体感的には数ミリ単位で案配されており、中だるみなく登場人物たちに襲い掛かる緊迫したスリルにダイレクトに共感できる。

 

パルクールの魅力を余すところなく表現するのに邪魔にならないシンプルな筋立てや、いい意味でステロタイプな登場人物のバックボーンや整然とした人間関係など、構成のバランス感覚も優れており、ノンストレスで映画の世界観に没入できる。

 

ただ、バイクメッセンジャーという主人公の人物設定がパルクールという舞台設定と融合して、バイクパルクールとでも称するようなバイクアクションとパルクールが混然一体となった斬新なアクションへと昇華されるのかと、既存のパルクール映画を「アンリミテッド」な領域へ進出させる、画期的な演出を期待させるようなシーンが冒頭にあったのに、その後はパルクール一辺倒だったのが少し残念。

 

期待外れというわけではなく、こちら側の期待が勇み足を踏んで独り相撲の肩透かしを食らっただけなので、作品側には何の落ち度もない。

 

もし続編があるのなら、このクオリティの映画でぜひ「バイクパルクール」を拝見したい。